※この記事は、2022年4月~5月に、日本→スペインへ猫と引っ越ししたときのことを書いています。事前準備で必要なものについては、情勢によって変化していたり、その時点での航空会社の規定や移住先の国によってもかなり異なりますので、もしペットとの引っ越しを検討されている場合は、渡航する国の最新情報を十分ご確認ください。
うちの猫たちの状態(年齢など)
渡航時のうちの猫たちの年齢や性格などはこのような感じです。
![]() | ロロ(メス・6歳) 体重3.5kg 好奇心旺盛 慢性腎臓病になりかけ(尿素窒素 34.9) |
![]() | ナナ(メス・6歳) 体重3.5kg 猫でも人間相手でも頻繁にシャーシャーする 持病無し |
![]() | トト(オス・6歳) 体重4.5kg 超ビビり 慢性腎臓病になりかけ(尿素窒素 32.6) |
![]() | ルル(オス・推定5~7歳) 体重6.0kg 人に慣れてる 手術歴あり(2回)、尿路結石症あり(普段のご飯は療法食) |
情報収集
まずは、スペインでの猫の入国条件を入手するために駐日スペイン大使館のサイトを見てみましたが、ペットとの引っ越しについて書いたページが見当たらなかったため、メールでスペイン大使館に問い合わせてみたところ、以下の返答でした。
管轄当局はスペイン国農業水産食糧庁並びに日本国農林水産省になりますので、当局に直接お問い合わせください。
返信メールより
日本の動物検疫所のページに、「入国条件は、日本にある相手国大使館(外部リンク)又は相手国の動物検疫機関に、直接ご確認ください」という案内が出ていたので問い合わせたのですが、スペイン大使館からはスペイン国農業水産食糧庁のサイトの案内のみでした。ただ、サイトはもちろんスペイン語のため何が書いてあるのか私にはさっぱりで、Google翻訳でなんとなく概要はつかめても、細かいところについては十分理解することができません。そういうところをフォローするのが大使館なのでは…という気がするんですけども(愚痴)
猫を連れて行くというだけでも不安だらけなのに、入国条件がわからないので自分が何をすればいいのかもよくわからず、不安倍増な状態でした。
輸出代行業者さんへの依頼
ネットで先人の知恵をお借りしたくブログなどを漁ったのですが、これだ!という情報はなかなか見つからず、ましてやスペインに猫を連れて行ったという情報は見つかりませんでした。
ただ、10年ほど前に香港に猫を1匹連れて行ったという方のブログから、動物輸送の専門業者さんがあるということを知り、私も不安要素や準備不足を少しでも軽減させるために、その方と同じ業者さん(バーデンさん)にお願いすることにしました。
輸送方法の選択
私は今回、客室持ち込みと貨物輸送の2つの方法を併用しました。
尿路結石症を患っているルルについては、念のためおしっこの状態について目が届くようにするため客室持ち込みにし、残りの子(ロロ・ナナ・トト)たちは、私と同じ飛行機では客室への持ち込みができないため(頭数制限があるので)、別日での貨物輸送の手段を取りました。
また、ルルは病院慣れしていることもあってか、普段からキャリーに入れて連れ出しても大騒ぎすることがなく、動物病院での検査で仰向けにされてもパニックになったり暴れたりしない性格なので、客室持ち込みにしても大丈夫ではないかと判断しました。
なお、貨物輸送はとても高額であるということをバーデンさんからお見積りを出していただいた時点で知りました。私のケースでは幸いなことに、日本からスペインへの引っ越しに係る費用として猫たちの輸送費用も夫の転職先が負担してくれましたが(ありがとう夫の会社…)今回の場合、航空会社に支払う金額としては、客室持ち込みの場合は125USドル=約16,000円、航空貨物としての場合は1匹あたり約140,000円でした。
客室持ち込みの料金は、出発当日のチェックイン時にカウンターで支払いますが、それ以外は上記の金額に輸出代行料や追加オプション料金を加えてバーデンさんにお支払いする形です。
客室持ち込みと貨物では航空会社に支払う金額は雲泥の差なので、多頭飼いの場合は、自分が複数回飛行機に乗る(2回以上に分けて客室持ち込みにする)という選択もありうるのではないかと思います。
ハードキャリーと給水器、ソフトキャリーとハーネスの購入
輸送方法を決めたら、次は必要なものを購入します。
貨物輸送用のハードキャリーについては、まずは猫の体長・股下・幅・高さを測る必要があり、そこから必要サイズを算出します。キャリーの中で猫は屈んだ状態ではなく、まっすぐと立つことが可能で、横幅なども十分に余裕があるもの、IATA航空輸送基準をクリアした製品であることなど、ソフトキャリーよりも細かい規定があります。
うちの猫たち(3.5~4.5キロ)用として、ペットケンネル・ファーストクラスのL70サイズを楽天で購入しました。(商品説明欄にはこの体重の場合はこのサイズというようなことが書かれていますが、おそらく一般的な外出を想定して書かれているため、飛行機用としてはサイズが異なるので注意です)
ロロが入った状態だとこのくらいのサイズ感になります。

また、ハードキャリーには必ず給水器をつける必要があり、ボトルを外から交換できるように設置が必要とのことだったので、ちっちゃなエコドリンカーという商品を購入しました。(手持ちのペットボトルをくっつけて使用できるタイプです)

通常の犬用のものと比べると飲み口が小さくなっているのですが、さらに飲み口が小さいものが好みの場合は、「キャティーマン 猫専用ゴクゴク浄水ドリンカー」で検索すると出てきます。
客室持ち込みについては、FEANDREAというブランドのソフトキャリーをAmazonで購入しました。こちらはファスナー同士がバックルで留まるようになっているので、うっかりファスナーが開いてしまったり、猫が自分でファスナーを押して開けてしまう危険性が低いと思い、この商品に決めました。
ただ、実は航空会社の規定サイズよりちょっとオーバーしていました…詳しくは飛行機の予約の記事で書いています。

なお、特に規定があるわけではないのですが、客室持ち込みする場合は絶対ハーネスを買って装着に慣らしておいたほうがいいと思います。というのは、空港のセキュリティチェックでソフトキャリーから猫を取り出してくださいと言われるケースがあるからです。(実際にパリでの乗り換え時に言われました)
飼い主が抱っこするとはいえ、猫からすれば知らない場所に突然出されるわけなので、場合によってはパニックになって腕からすり抜けて逃亡してしまう危険があります。なので客室持ち込みの場合は必須だと思います。
私はPetSafe イージーウォークというハーネスを購入しましたが、ルルの場合はLサイズがちょうど良かったです。

その他購入したもの
3匹の貨物組の出発日の直前に、フードボウルとフェロモンスプレーを購入しました。
もともとハードキャリーにフードボウルは付属で1つついており、バーデンさんからも特に追加するよう指示があったわけではないのですが、フードボウルは2つつけてくださいと書いてある航空会社のサイトを見つけてしまったことから急に気になってしまい、購入することにしました。
ハードキャリーに取り付けるとこのような感じになります。

フェロモンスプレーについては、猫たちの精神状態を少しでも落ち着かせるようなものがないかどうか動物病院の先生に相談したところ、フェリウェイというブランドを教えていただいたので、キャリーの中に敷いたタオルにスプレーをしてみました。

フェリウェイは、世界中で広く愛用されている、猫のフェイシャルフェロモンF3類縁化合物を含む製品です。
フェイシャルフェロモンF3は猫の頬から分泌され、猫が生活環境内にある物、人、他の動物などに慣れ親しんでいることを示すためにこすりつけるものです。
フェリウェイ®スプレー|フェロモン製品(猫)|ビルバックジャパン – Virbac
なお、ネットで検索して読んだブログ(8年以上前の記事)の中には、動物病院で精神安定剤を処方された子もいたようなのですが、現在は精神安定剤は与えないように、もしくは投与をお勧めしないと書いてある航空会社が多いです。
フライトの前とフライト中には多くのペットが緊張します。しかし、ペットに鎮静剤や安定剤を与えるかについてはよくご検討ください。投薬後の犬の反応は予想できません。例えば、フライト中に循環器系の障害が生じる可能性があります。獣医師との相談をお勧めします。
ペットの輸送 | Lufthansa
ペットに精神安定剤を与えないようお願いいたします。 ペットが飛行機の環境に慣れるまで長時間かかることがあり、フライト中に体温が下がるおそれがあります。 精神安定剤をどうしてもご使用になりたい場合は、獣医に相談した上でのみお願いいたします。
犬や猫を機内に持ち込む、または受託手荷物として預ける – KLM
また、客室持ち込み用として、アイリスオーヤマの携帯トイレも購入しました。
柔らかいバッグ状になっていて、内側は防水加工になっているため、ファスナーを閉めれば砂を入れたままでざっくりと折りたたむことができます。(手持ちのリュックにいれて持ち込みしました)
普段はシステムトイレを使っているので、数日前から紙砂も併用するようにして、ルルはこちらでもトイレができるようにしました。ただし、客室内で使用することはできないので、搭乗前の待ち時間か乗り換え時に使用させる想定でしたが、移動中にこれを使ってトイレをしてくれることはありませんでした…
猫たちを購入した商品に慣らす
ハードキャリーは出発の1か月以上前に購入し、ずっとドアを開けたまま部屋に置きっぱなしにしていました。また、通販でよく付いてくる緩衝材の薄い紙(うちの猫たちのお気に入り)を大量に入れておくと、3匹とも自分から好んで中に入るようになりました。

その後、だんだんと慣れてきたら、中に入った状態で扉を閉めて30分ほど待機させたりしていました。
給水器は、口をつけるところにちゅーるをくっつけてなめさせたり、指で押して水が出るところを見せたりしたのですが、どうやっても興味を持ってもらえず、自主的に飲んでるところを見たことは結局一度もありませんでした…
そのため、搬出日当日はバーデンさんにその旨お伝えして、搬入直前にフードボウルに少しだけお水を入れていただけることになりました。
次の記事に続きます。